<白い歯 黄ばみ解消>

朝日新聞 2001,10,1より

美しく白い歯は、健康でさわやかな印象を与えます。 ただ、加齢や食習慣などによって、歯の変色や着色が次第に進みます。 薬の副作用で歯内部から変色することもあります。 最近、薬剤で漂白したりする「歯の美白法」に関心が高まっています。

抗生剤の副作用

歯の変色や着色は、さまざまな原因で起こる。 体質から黄ばみの目立つ人もいるし、だれでも年齢を重ねると黄褐色に 染まってくる。 たばこ、お茶、コーヒー、赤ワインでも着色しやすい。 原因は違っても、歯の色に悩む人は少なくない。

「歯の色を気にして、学校や職場、友人の前で心から笑えないという人たちがいる。 なかには医療の助けが必要な人もいる」 というのは、新潟大歯学部教授の岩久正明さんだ。

同大付属病院は95年に全国に先駆けて、変色歯の専門外来を開いた。 これまでに500人近くが相談に訪れた。 6割が幼少時に 服用したテトラサイクリンという抗生剤の副作用による変色だった。 永久歯全体がしま模様状に濃い灰色や茶褐色に染まり、 強い劣等感を抱いたり、いじめにあったりするなど深刻な訴えをする人もいた。

この薬剤は60、70年代に風邪などの治療で多用され、現在20代〜30代を中心に数百万人規模で変色歯の副作用が出ていると 考えられている。

強い変色には、合成樹脂を吹き付けて白くする方法や、歯の表面を1本ごとにごく薄く削り、ポーセレンという陶材をはり付ける ラミネート・ベニヤという方法が一般的だ。 しかし、ベニヤでは、歯ぐきが後退すると地の歯の色が見えてきたり、一部がかけたり することもあり、手入れをしないと10年以上効果を保つのは難しい。 健康な歯を削り、虫歯ができやすくなるなどの心配もある。

一方、虫歯の治療で神経を抜いたり、外傷を受けたりすると、歯が部分的に変色することがある。 この場合、歯の内側から漂白剤 を入れて歯の色を戻す。

ここ数年、薬剤を使って歯を漂白してくれる歯科医院も増えてきた。 90年代から米国で広まった方法だ。

『スーパーホワイトニング 歯の美白』などの著書がある近藤歯科(東京都目黒区)院長の近藤隆一さんは「漂白法は歯を削らずに 白くできる優れた治療法だ。 比較的簡単に反復して受けられるのも魅力。 歯が白くなり、自信が持てるようになったという人が増えて いる」と話す。


治療数回で効果
薬剤による漂白法では、歯1本ごとに過酸化水素などの薬剤を塗り、強い光をあてて白くする。 加齢による変色などは、 数回の治療で効果が出てくる。 歯科医師の指導を受けて、自宅で就寝中に漂白する方法もある。 超薄型のマウスピースのような 用具をつくり、ゼリー状の過酸化水素や過酸化尿素を注入、装着して眠る。 使用中に一時的な知覚過敏やのどのひりひりを訴える人 がいるが、2週間から1ヶ月ほどで、個人差はあるが驚くほど歯が白くなるという。 抗生剤の副作用による変色でも、軽度から 中程度なら効果的だ。

漂白法を研究している昭和大歯学部教授の久光久さんは 「10年の実績がある米国でも目立った副作用の報告はなく、安全性や効果 にも問題はない。 ただ漂白剤による歯への長期的な影響は完全には解明されていない。 10代ではまだ歯が成熟していないので、成人 してからが望ましい」 と助言する。

ただ、漂白法も時間がたつと色が後戻りしてしまう。 再漂白や定期的なメンテナンスが必要だ大半の漂白剤は国内の承認は受けて おらず、歯科医師の責任と判断で輸入、使用されているのが現状だ。


白過ぎは不自然
気になるのが、治療費の問題だ。 審美目的では医療保険が適用されない。 ラミネート・ベニヤでは歯1本につき、大学病院で 約6万円、開業医だと10万円前後。 前歯だけでも上下で数十万円は必要だ。 漂白も、自宅方式の上下で約十万円が相場だ。

一方で、歯の色を気にし過ぎてもいけないと、歯科医師たちはアドバイスしている。 歯は本来真っ白ではなく、クリーム色に近く、 個人差もある。それでも、より白く、より白くと望み、悩む人もいるという。 「チョークのように真っ白い歯」 は、かえって不自然な ことも忘れてはいけないようだ。

時にはプロのお掃除を
歯の変色や着色を防ぐには、日ごろの手入れも大切だ。歯科医師や歯科衛生士に、歯ブラシの選び方から磨き方まで指導を 受けるのもいい。 「間違いだらけの自己流歯磨き」 が少なくないからだ。

新潟大歯学部講師の福島正義さんは、歯を湯のみにたとえて、こう説明している。湯のみは使うごとに水洗いする。 これが毎日の歯磨き と同じだ。 それでも湯のみには茶渋が少しずつこびりついてくる。 そこで、たまにクレンザーと金属たわしを使い、ゴシゴシと洗えば きれいになる。 それでも落ちない長年の汚れは漂白剤につけて落とすしかない。

歯にもたまには「金属たわし」が必要だ。 これが歯科医院で受けられる専門的な清掃法だ。 特殊な器具や研磨剤などを使い口の中を きれいにする。 歯石、歯垢も除去され、抗生剤の副作用など歯の中からの変色がなければ、歯はかなり白くなる。

それでも、落ちない長年の黄ばみが気になるなら、薬剤による漂白法を試してみたらどうだろう。

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